新訳走れメロス‐森見登美彦

2つめ、 森見さんの走れメロス

 

森見さんの作品は、表現がすごくきれいなのに、バカバカしいことをインテリジェンスにこなす登場人物とのギャップにいつも笑ってしまう。

ホントに好きな作家だ。

 

この走れメロスは、明治の文豪(皆まで書きませんが)5作品を現代版に書き直した短編作品集で、短編集なのだけども一冊として登場人物は関連がありそれぞれの作品を盛り上げてくれる。こういう演出がすきだ。

 

登場人物は京都のクソ大学生(たぶん森見さんモデルなら京大生なのだろうけども)

で冒頭のようにキャラがどれもたっていて笑える。文庫のタイトルになっている走れメロスがやはり「笑い」では一番おもしろいのだけども、個人的に好きなのは 「桜の森の満開の下」だ。自分に自信の無かった物書きを目指す学生がある日、桜のしたで絶世の美女としりあう。それは奇跡にちかく、その美女にのめりこんでいってしまう。

彼女と付き合ってからは何もかもがうまくいくようになるのだが、気づけばそこに自分の意志はなくなっていた。そんな空虚な思いが、桜の絶景の恐ろしさからくる空虚さと重なりだす。耐えられなくなった主人公は新たな出発をする。

何が幸せなのか?人の幸せってなんなんだろう?って考えさせられる話だった。

 

とにかく面白い。次もよみたい。笑いたい。